私について

小澤 佳夜子
言語聴覚士 / 公認心理師
子どものことばと発達に関わる仕事をしています。
この仕事を目指した原点は、私自身の子育てでした。娘の発達に特別な心配があったわけではありません。それでも、赤ちゃんと二人きりで過ごす中で、「これでいいのかな」と不安になり、自信をなくすことが何度もありました。
だからこそ、ことばが遅い、発達がゆっくり、育てにくさがある――そんな心配を抱えながら子育てをしているご家族の力になりたいと思うようになりました。
一人で悩む人を少しでも減らしたい。
子どもの「できない」だけでなく、その子らしい力や可能性を一緒に見つけたい。
その思いを原点に、臨床、保護者支援、支援者研修、ST養成、執筆などの活動を続けています。
私が言語聴覚士になるまで
佐賀大学教育学部卒業後、一般企業でデザインや広告制作などの仕事に携わりました。
転機となったのは、娘のかかりつけだった小児科医との出会いです。
先生が行う、子育てや子どもの発達に関する講演会のパンフレットを、仕事で培ったデザインの経験を生かしてボランティアで制作したことをきっかけに、何年にもわたり活動を共にしました。
そこで初めて「言語聴覚士」という仕事を知りました。
子育てに悩んでいる保護者の方に、もっと専門的な知識をもって直接関わりたい。子どものことばや発達を支える仕事がしたい。
そう考え、専門学校に通い、言語聴覚士の資格を取得しました。
子どもと家族に寄り添う臨床
資格取得後は、総合病院で急性期・回復期の言語・摂食嚥下リハビリテーションを経験した後、訪問リハビリ、児童発達支援、放課後等デイサービスなどを経て、現在は所沢市のこども支援センターで勤務しています。
乳幼児から思春期まで、ことばの遅れ、コミュニケーション、発達、吃音、構音、読み書きなど、さまざまな相談に携わってきました。
発達評価や言語評価を行うこともありますが、私が大切にしているのは「検査結果を伝えること」だけではありません。
保護者の方が、
「この子のことが少し分かった」
「これなら家でもやってみられそう」
「相談してよかった」
と思って帰ることができる支援を目指してきました。
一人の親子から、地域の子どもたちへ
臨床を続ける中で、次第に強く感じるようになったことがあります。
一人の専門職が支援できる親子の数には限りがあります。
けれど、保育園や幼稚園、児童館、学校、療育施設など、子どもの身近にいる支援者が、ことばや発達について少し理解を深めることで、支えられる子どもは何倍にも増えていきます。
そのため現在は、臨床だけでなく、地域の支援者を対象とした研修や講演活動にも取り組んでいます。
所沢市内では、子どものことばの発達に関する研修を長年担当するほか、青少年支援や児童館など子育て支援拠点に携わる職員への研修、自閉症啓発活動などを行っています。埼玉県内の幼稚園関係者を対象とした研修にも登壇しています。
次の世代の専門職へ
言語聴覚士養成校では、非常勤講師として「言語発達学」を担当しています。
子どものことばの遅れには、認知、聴覚、対人関係、運動、環境など、さまざまな背景があります。
単に「ことばが遅い」と捉えるのではなく、その子の発達全体を見ながら、何が必要なのかを考えられる言語聴覚士を育てたい。
そんな思いで、これまでの臨床経験を学生たちに伝えています。
また、職場の専門職に向けた研修や執筆を通して、よりよい支援が多くの子どもたちに届くことも目指しています。
ことばと、絵と、教材と。
私は言語聴覚士になる以前から、絵やデザイン、企画の仕事に長く関わってきました。
子どもたちとの臨床では、ことばだけで説明するよりも、絵や図、カードなどを使うことで、「分かった」「やってみたい」という気持ちが生まれる場面をたくさん経験してきました。
「ここが見えるようになったら、もっと理解しやすいかもしれない」
「こんな教材があれば、練習ではなく遊びのように取り組めるかもしれない」
「家庭でも使いやすい形にできないだろうか」
臨床の中でそう感じるたびに、その子に合わせた教材や遊び方を考え、作ってきました。
以前、企画やデザインの仕事に携わっていた経験もあり、子どもの反応を見ながら、「もっと分かりやすく」「もっと楽しく」「もっと使いやすく」とアイデアを形にしていくことは、私の得意なことの一つです。
iccoiccoでは、これまでの臨床から生まれたアイデアをもとに、ことばやコミュニケーションを育てる教材、家庭や支援の場で役立つツールなども、少しずつ形にしていきたいと考えています。
ことばも、絵も、教材も、人と人をつなぐためのもの。
子どもが「分かった」「できた」「やってみたい」と感じる瞬間を、少しでも増やしていきたいと思っています。
私が大切にしていること
子育ての中で、一人で悩む人を少しでも減らすこと。
子どもの「できない」に目を向けるだけではなく、
その子の「好き」「得意」「その子らしさ」を見つけること。
そして、それを周囲の大人と一緒に育てていくこと。
臨床で保護者に直接お伝えすることも、
支援者に研修をすることも、
次の世代の言語聴覚士を育てることも、
文章を書くことも、
教材を作ることも、
これから本という形で伝えていくことも。
私にとっては、すべて同じ思いから始まっています。
子どもと、その子を育てる人を応援したい。
それが、私の活動の原点です。